青山悟:The Man-Machine(Reprise) Featuring 平石博一 |
展覧会 |
執筆: 記事中参照 |
公開日: 2012年 7月 23日 |
青山悟 | Imagine/No More Nukes | 2012 | ポリエステルに刺繍 | 各16.3×23cm(2枚組)photo by MIYAJIMA Kei |(c)AOYAMA Satoru | Courtesy Mizuma Art Gallery 青山悟 | Imagine/No More Nukes | 2012 | ポリエステルに刺繍 | 各16.3×23cm(2枚組)photo by MIYAJIMA Kei | (c)AOYAMA Satoru | Courtesy Mizuma Art Gallery 2012年8月29日(水)よりミヅマアートギャラリーにて青山悟展「The Man-Machine(Reprise)」を開催いたします。 工業用ミシンを使い「労働」と「機械と人間の関係性」をテーマに制作を続けている青山悟は、近年、自身の刺繍と画家であった祖父の絵とを対峙させたシリーズ(ギャラリーαM、2010)や、薔薇という象徴的であるが故に陳腐にさえなりかねない主題に敢えて挑んだ一連の作品(ミヅマアートギャラリー、2011)等、「刺繍」というメディアそれ自体の意味を再認識し、拡張するかのように精力的に発表を行っています。 本展では、政治や社会情勢を扱うニュース雑誌を切抜き、その表と裏の両面をフルカラーの糸を使って再現した刺繍作品を、展覧会初日に開催する平石博一とのライブ・パフォーマンスの記録映像と共に発表いたします。 恣意的に選ばれたニュース記事の表とそこに自動的に付随する裏は、革新的な平和活動家のイメージが強いジョン・レノンが実は保守派だったという記事のイメージと、その裏の「原発はいらない」という記事のイメージのように、一見、意図しない組み合わせでありながらもどこか呼応しあうような関係性を持っています。それらのニュース記事を一針一針丁寧に縫いあげていく作業は、作家にとって日常の中で見過ごしているものに気づき、理解を深める足掛りとなったと言います。テクノロジーが発達し、インターネットの情報伝達速度が加速していく時代に、一時代前の工業用ミシンを用い、制作し続けることの意味とは何か、またメディアが伝える情報が変化し風化していくなかで変わらず残るものとは何か。青山は自身の制作過程の中で次のように述べています。 「表に見えているものが裏にあるものと同様に意味がなかったとしても、裏にあるものが表に見えているものと同様に意味がなかったとしても、何かを信じ、選択していかなければならない」 展覧会タイトルは、クラフトワークの1978年のアルバム”The Man-Machine” にちなんでいます。邦題で「人間解体」と付けられたこのアルバムが、むしろ「人間性への回帰」として鳴り響いているかのような今現在、「機械と人間の関係性」はどのように変化し、どこへ向かっているのか。また、異なる価値観と溢れる情報の中から私たち個人は一体何を選択し、そしてこれからどのような社会を築くことが出来るのか。本展がこのような議論のささやかなきっかけになることを青山は願っています。 刺繍というメディアを通し、時間をかけて「今」と向き合った作家からの真摯な問いともいえる本展をぜひご高覧ください。 [作家プロフィール] オープニングレセプション:2012年8月29日 (水)18:00-20:00 全文提供:ミヅマアートギャラリー 会期:2012年8月29日(水)~2012年9月29日(土) |
最終更新 2012年 8月 29日 |