松島英樹 展 |
展覧会 |
執筆: カロンズネット編集 |
公開日: 2010年 11月 30日 |
“光モノ”というと軽薄に聞えるかもしれませんが、松島の作品を形容する上で、この俗っぽい響きは欠かせない要素のひとつです。 画面全体を覆っているこの“光モノ”は、媒材自体が発光しているわけではなく、「ラメ」や「ラインストーン」といった小さく加工された金属箔やガラス、アクリル樹脂等に光が反射することで輝いて見える素材です。 絵画に用いられる光る素材としては、油彩で使用される画用液(乾性油やワニス)も、絵具に艶のある塗膜を与え、そこに光が反射することで、光沢のある表面と色の彩度を高めるといった効果はあるのですが、ここでは絵具という色材とは異なる装飾性に特化された素材が用いられ、その材質が放つメタリックな色彩やクリスタルな輝き、鏡面的な質感というのが大きな特徴です。 画面の印象から、百貨店のディスプレー等で用いられるオーナメントや、デコレーションを施した携帯電話、ネイルアートの塗装面等を想起させますが、油彩用のカンヴァスを支持体として用いていることから、松島は絵画としての規範の在り方を提示しつつ、媒材における色光の変化、“光モノ”といった素材そのものを現代的なモチーフとして作品に取り入れています。 「ラメ」や「ラインストーン」は、高価な箔や宝石をモデルに生産された模造品の一種でもあります。量産が可能であることからファッションアイテムとして幅広く活用され、安価な宝飾として身近に普及するようになりました。豪華さを醸しながら特有の粗造感も滲み出ているこれらの素材は、カンヴァスを支持体とする絵画の様相を俗化させ、キラキラと輝きを放ちながら魅惑的な存在を確かにしているのです。 松島英樹 ※全文提供: Oギャラリーeyes 会期: 2010年11月29日(月)-2010年12月4日(土) |
最終更新 2010年 11月 29日 |