西村卓は、多様な断片が互いの関係の力学によって離合集散を繰り返しながら、不確かで混沌とした全体を生み出していく造形に取り組んでいます。そして、個々に切り離されながらもお互いを必要とし、果てしなく広がりながらも、すべてが繋がっている人間社会の関係性に対する複雑な感情と未来への希望を表現して来ました。
しかし今回の発表にあたり、彼は「建物というフレームがなくなり、社会というものが怒涛のように家の中へとなだれ込んで来た気がした。」と述べ、それまでの「空間」や「存在」というものへ感覚が揺らいでいることを示唆します。幾重にも折り重なるように押し寄せる予測のできない現実に対して、彼の造形がどのように反応し、その生命力を見せてくれるのか、大いに興味を呼ぶところです。

全文提供：Gallery K

会期：2020年8月31日(月)　〜 2020年9月5日(土)
時間：11:30〜17:00　月・金曜日〜19:00　土曜日〜15:00
休日：日曜日
会場：Gallery K