展覧会
|
執筆: 記事中参照
|
公開日: 2018年 7月 03日 |
生命が種の閉塞を回避して環境変化に適応し続けるために、交配による遺伝子のシャッフルや突然変異といった破局のリスクを積極的に受け入れてきたように、人間の芸術的営為である絵画もまた、近代的思考が求めた「純粋絵画」の閉塞を乗り越えるべく、不条理の力を導きに、作品を成立させている制度を破局に曝してこそ未来があると、大久保貴裕は考えます。 描く主体の批判的な問い直しとして試みられた「オートマティスム」や、遠近法などのイリュージョンを破棄した「オールオーヴァー」といった手法の追体験を経て、大久保はいよいよ近現代絵画の依って立つ最大の規範であった「平面性」に対する反逆を試みます。矩形のなかで周縁から中心に収斂するよう構成されたヒエラルキーにメスを入れて絵画の腹を開く、そして切り開かれた部分を他の部分と組み合わせながら折り曲げて立体へと展開させる・・・ このようにして作り出した3次元構造の絵画をさらに人を包み込む空間へ展開するならば、それは絵画と建築が一体となっていた芸術の起源に接近し、人間の生存にとってなぜ絵画が必要なのかを問い直すことでもあるのです。
http://galleryk.la.coocan.jp
全文提供:Gallery K
会期:2018年7月16日(月) 〜 2018年7月21日(土) 時間:11:30~19:00 土曜日~17:00 休日:日曜日 会場:Gallery K
|
最終更新 2018年 7月 16日 |