展覧会
|
執筆: 記事中参照
|
公開日: 2009年 6月 24日 |
"UNFINISHED ELIXIR" 未完のエリクシール 時に劇薬として 時に媚薬として 時に万能薬として "Elixir( エリクシール)” とは錬金術で使われる霊薬の名称であるが、その成り立ちはきわめて思想的であり、むしろそれを繁栄させるがごとく存在している。 その目的とは、我々に生という物を感じさせる事 潜めたる理想や欲望をさらけだすのではなく己に据えて、かつ、消化させることである。
壁画を作る事は、思想をさらけ出すというよりも、己の中に据えるという事の方が正しい。 それはオープンであると同時にクローズでもある。 その心地は制作が終わる時よりも、むしろその行為が継続している状態の方が強く感じる。 それは終わりない境界線を力強く飛び越えているような、つなぎ目の無い快楽を感じる。 そしてその経験はたとえ壁が白く塗りつぶされようとも消える事は無いのだし、そのことによってむしろ純化されてゆく。 日本には "秘仏" という文化が存在する。 様々な形式があるが、その中には、住職一代につき一度しか公開が許されていないものもある。 つまり80年に一度程度。我々が生きている間に見る事が出来るのもほぼ1度きりである。 そしてその秘仏は写真という形でも公開されない。 情報に埋まる現代において、秘めるという事が麻痺してしまっている我々の中にそうした体験が生まれる事は少ない。 しかし、そうした事に向き合う機会を失う事は、決して歓迎されることではないはずだ。 決して形を残す事を否定しているのではないが。 しかし形ある物に常に寄りかかっていては、僕はうまくバランスがとれない。 石川結介
※全文提供: レントゲンヴェルケ
|
最終更新 2009年 8月 01日 |